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少年ノート

『隠の王』という漫画があった。
何年か前にアニメにもなっている漫画で、忍者とか森羅万象とか――とにかく、当時かなりハマって、今でも好きな漫画の一つ。

その作者さんが中学合唱部を舞台に描いた作品。
それが『少年ノート』なのです。

最近完結したばかりで、正直悲しかったりしますが、しかし、人に薦めやすくなったという点ではプラス。
むしろ、早く紹介しないと書店の棚から消えてしまう可能性すらあるのだから、今ここでこの作品への愛を叫ばずしてどうするか。

――繊細で、力強く。
  儚いからこそ美しい――

失うことが約束された天使の歌声。
変声期前のほんのわずかな時間の中で、少年たちは迷い抗い成長していく。


綺麗な音、醜い音、明るい音、暗い音。暖かい音、冷たい音。
聞こえるはずのないメロディーが頭の中に流れ出す。
感情豊かで、不安定な少年少女の心境はページ全面に丁寧に描かれ、書を持つ指先を伝って胸に響いてくる。

作者である、鎌谷悠希さんのとびぬけたセンスの良さが物語を一層際立たせる。


兎にも角にも。
読めばわかる。読まねば決してわからぬ、美しい世界の姿がそこに広がっていますので……


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